2016年06月23日

「怖いから言う事を聞く」という関係

先日パピーを迎えたばかりの方に、甘噛みやらお散歩やら遊び方の相談をされたことがありました。

「まだ2ヶ月ちょっとで本当はまだまだお母さんが必要な時期だから甘えたい気持ちはよくわかるんですけど、でも甘噛みが痛くて痛くて」

っておっしゃっていて、私は少しホッとしたのです。

本当は犬のお母さんの元にいてもおかしくないほどのほんの小さな子なんだという事をおっしゃっていたのと、犬のトレーニングやしつけの場面において良く駆り出される「アルファ論(支配性理論)」的な単語がその方の口から出てこなくて、ホッとしたのでした。

アルファ論(支配性理論)というのは、
『犬の先祖である(とされている)オオカミは群れを作り、その群れには優位性の高いアルファがいて群れを仕切っている。だから犬を迎えたら人間がアルファになり犬を支配しなければならない』という説。

ただこれは、この説を導き出した実験で観察されていたのは自然のオオカミではなく、人工的に作られたオオカミの群れだったことが『動物が幸せを感じるとき』(p.42)辺りや、『犬のこころにまっしぐら』(p.120)辺りに書いてありますが、それをそのまま犬に当てはめていいのかということや、支配とか優位とかアルファとか言う言葉で表現されるものの本質がその言葉を使う人それぞれになっている事が多いなど、問題点がとても多い様に感じています。

犬のしつけやトレーニングにおいて私が「これってかなり問題なのでは?」と感じる事のひとつに、犬に対する暴力や過剰な無視・コントロールなどを正当化する為に”支配”という言葉を使っていることがあると感じることです。

たとえば・・・
犬が自分をリーダーだと思わないように、人間が犬を支配しなければならない。その為にはどんな時でも言う事を聞く犬にする。散歩の時には常に横について歩かせ、少しでも前や後ろに出たらリードを強く引っ張って「NO!」と言う。
吠えたら大きな音を立てたりスプレーを吹きかけたりしてびっくりさせて吠えを止める。
「ヨシ」という前にご飯を食べようとしたら叩く。
まだまだ小さなパピーを無理やりひっくり返したりマズルを掴んだりして服従させようとする・・・など。
自分(飼い主)が少しでも違うと思っていることをしようとすると、犬を力でねじ伏せたり叩いたり締め上げたりすることが、「支配」という言葉の元に正当化されている現実があるように感じています。

でもそんな風に支配されることが幸せと感じる犬がいるかな?
恐怖で支配されることが幸せだろうか。

「人間と犬の『感情脳』は似ていて、辺縁系を形成する脳細胞のその部分がすべて同じにできている。この脳細胞のおかげで、犬も私たちとおなじような感情を持つ。怒り、喜び、高揚感、満足感、不快感、悲しみ、倦怠感、恐怖など。」
(p.219〜p.220)

犬が怖がっているかどうかってなんとなくわかりますよね、ボディランゲージで。
ボディランゲージがわかるようになれば、しょんぼりしてるワンコさんを見て
「大人しくなった。おりこうさんになった」
なんて見誤る事もなくなると思います。

私もルビーを迎えた当初は本当に戸惑ったけれど、でも怖がっているか楽しんでいるかの違いは分かりました。わかったからこそ、優しい方法をとりたいと思うようになって今ここにいます。

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怖いという感情は、私達と同じ感情を持つ犬達にとってもネガティブなものであるに違いありません。可愛くて迎えた命に恐怖や悲しみを抱かせるような方法をとりたいと思う人が本当にいるのかな。
彼らにポジティブな感情で満ちた豊かな犬生を送ってもらいたいと思うのが、犬を愛する人にとっては自然な感情なのではないかと思っています。



posted by カエデ at 22:40| Comment(0) | 成長過程 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする